三次が誇るアーティストのご紹介です!
今回の記事は,移住コーディネーターのツカが担当します。突然ですが、みなさん、びっくりしないでください!
今回は、三次市出身の小説家、佐々木裕一先生を取材してきました!
実は私がヨーロッパから三次へ移住した際に「三次へ移住するなら、ぜひ読んでみて!めちゃくちゃおもしろい よ!」と福山市の知人に勧められたのが、佐々木先生との間接的な出会いです。
そこで、私が最初に手にした小説の1冊目が「身代わり若殿 葉月定光」シリーズ(角川文庫)でした。その小説が、時代小説ということもあり「うむむ、難しい内容かなぁ」と思いながらページをめくっていくと、もうそれは面白くて面白くて、どんどん読み進んでしまいます。気がつけば、全国のファンのごとく、すぐにはまってしまいました。
このシリーズは、広島で暮らしているイケメン虎丸がひょんなことから江戸の、ある高貴な若殿の身代わりをすることとなり、芸州弁を出したり、ひっこめたりしながらの展開があり、読み進めていきながら、笑いが止まらなくなりました。その上、人情あり、笑いあり、恋ありで、あらゆる展開の内容に心を奪われてしまいました。おっと、これ以上言ってしまうとネタバレになってしまいますので、ストップ・ストップ(苦笑)。このシリーズは7巻で完結ですが、もっと続いてほしかったなぁという欲張りな気持ちを持ちつつ、早速、佐々木先生にお会いしてお話を伺いました。
さて、本題の取材の内容です。
佐々木先生は上志和地町出身、三次高校卒業後、社会人という道をたどり、現在は時代小説家として活動中です。そして、なんと言っても、佐々木先生の執筆のスピードがすごいです。今年は一年間で、出版社が前代未聞と唸るほどの堂々23冊を出版予定。現在バリバリの55歳、超売れっ子の佐々木先生の三次での生活とは、いったいどうなっているのか!?
そして、佐々木先生のお人柄も気になるところです。大変有名な時代作家なので、大物というからには、雰囲気も「大物」なのではないかと、気を引き締めて取材に挑みました。
取材当日おそるおそる訪ねてみると、「こんにちは!今日はよろしくお願いします」と、佐々木先生から、深々とお辞儀されるお姿とお声に、すぐに気持ちが和らぎました。この段階で、すでに人を安心させるような「大らかな優しさ」がにじみ出ておりました。一気に心が和らいだ私は、心からほっとして、厚かましくもどんどん質問を投げかけてしまいました。「小説家になろうとしたきっかけは何ですか?」「アイデアはいつ浮かぶのでしょう?」「やっぱり徹夜で執筆されるのですかね?」「いろんなシリーズを同時に書いて頭が爆発しません?」などなど。今、冷静になって頭で考えてみても、もっとレベルの高い質問をすればよかったと反省していますが、佐々木先生は、どんな質問にも真正面から丁寧に受け止めてくださり、穏やかに、かつ、にこやかにお答えくださいました。
いろんな話をお聞きしたところ、佐々木先生は、すべてのはじまりは27歳の時ということでした。それまで小説など読んだこともなく、最初に手にとった戦記ものを途中まで読んで「自分が書いたもののほうがおもしろい。書く!」と漠然と思ったそうです。それから構想を重ねて、30歳を機に毎日、会社勤めと並行させながら、帰宅後に机へ向かう生活をつづけ、1年後に書き上げた戦記ものを出版社に送ったところ、なんと1発で採用となり、しかも3日後には出版の話になり、そのまま戦記ものを出版し続けることになったとのことです。そして、子どもの頃から時代劇が好きだったこともあり、歴史資料を一から勉強して時代小説へ転換。この選択がのちに多くのヒット作品と、全国ファンを生むことになり、現在に至っています。ちなみに、佐々木先生が言われるには、同時期に執筆するシリーズものの主人公や登場人物は、イメージノートを作られているため、混乱はないそうです。実在する人物を扱うシリーズも多いが、架空の人物の場合は、特にモデルはないという話でした。
また「素晴らしい小説のアイデアや登場人物などのイメージはいつ思い浮かぶのですか?」という問いに対しては、普段の日常生活で人との会話の中で、ふと生まれることが多いそうです。また、頭の回転を維持するために徹夜はせず、規則正しい生活を心がけているというお話でした。なるほど、きちんと体調管理をされているからこそ、素晴らしい作品ができあがり、清き心を持ったヒーローや人情味が溢れた小説が生まれるのだなと実感しました。そして、私生活では、以前にペットとして、ウサギを飼っておられて、そのペットの名前は「も助(もすけ)」と伺い、さすが時代小説家のペットは名前までシブいのであるなと実感してしまいました。
終わりに、三次での地域の人たちとの関わりについて質問したところ、「今は三次と 東京の二拠点生活ですが、去年までは地域の集まりにも参加したり、消防団にも入団して、分団長もやっていましたよ」と笑顔で答えられました。そんな地域での生活がある中で、今現在、8社の出版社が、佐々木先生に作品を執筆してもらうために列をなしている状態。多忙極まりない状況でありながら、地域ともしっかり関りを持って貢献しておられる姿には、尊敬の念と共にとても親近感が湧きます。
佐々木先生のお人柄にも惹かれ、執筆された作品を読み進めている時のように、取材の時間が経過することも忘れてしまいました。さて・・・。いきなり私の話になりますが、次はどのシリーズを読もうかと、今から楽しみでワクワクしています。
よし!累計140万部突破して、全国に多くの女性ファンがいると名高い「公家武者 信平(のぶひら)」を読み始めることに決めました!